5分でわかる!? 税務調査のいろは。

今週は月曜日から木曜日まで4日間、顧問先の税務調査に立ち会い、金曜日は別の調査対応、金曜日の夜は翌週に控える税務調査の事前打ち合わせといった税務調査週間でした。

税務調査の対応に慣れている私も流石にヘトヘトです。

お客様に関しては、税務調査対応でクタクタになるわ、通常業務はたまってしまうわ、で肉体的にも精神的にもきつい状況かと思います。

特に、税務調査を初めて受ける方にとっては「マルサの女」のイメージが強く、とても怖いものであると考えている方が多いように感じます。中には脱税と認定されると捕まってしまうの?と心配される方もいらっしゃいます。

そこで、今回は、税務調査についての「いろは」をご紹介したいと思います。

 

記事は約5分で読めます。

時間のない方は太字部分だけ読んでいただいてもOKです。

 

ぜひ、税務調査の「いろは」を理解し、適正な調査対応を行ってください。

また、ほとんどの方は強制調査は関係がないものであるため、記事は一般調査を中心に記載しています。

 

税務調査の種類


税務調査は大きく2つに大別することが出来ます。1つは「マルサの女」のイメージで裁判所の令状による強制調査です。もう一つは、質問検査権という権利に基づく任意調査です。

強制調査

多額の脱税などに対し、査察(いわゆるマルサ)が行う調査で裁判所の令状に基づき行われる調査です。

任意調査(一般調査・特別調査)

一般の方が受ける調査は質問検査権という権利に基づき行わる任意調査です。

ところで、任意調査と聞くと断れるの?とご質問を頂くことがあります。

残念ながら、納税者側には受忍義務があり、拒否した場合には1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになっており、断ることは難しいです。

 ただし、強制調査と違い、正当事由がある場合には調査の延期などを申し出ることは可能です。

 

どんな人が調査にやってくるの?


調査官といっても調査歴30年超のベテラン選手から2・3年の駆け出しまで様々な調査官がいます。調査官のレベルを図る一つの目安が肩書です。一般的な調査現場で出くわす調査官の役職をご紹介したいと思います。役職と権限を知っておくことは税務調査をどのようにまとめていくべきかを考えるうえで非常に重要です。

役   職 特   徴

 特別国税調査官

(部長~課長)

 売上規模が比較的大きな案件を担当。通称「トッカン」

副所長クラス(厚紙トッカン)と統括官クラス(薄紙トッカン)にランクわけされています。税務調査を取りまとめる権限があります。

統括官

(課長)

上席や一般の調査官を取りまとめる役職。

税務調査を取りまとめる権限があります。

連絡調整官

(課長補佐)

上席国税調査官よりも地位は上。上席国税調査官をまとめる役目。

トッカン付きで来たりする場合もある。

上席国税調査官

(係長)

一般の調査官より上の役職。通常の中小企業に1人で調査にやってきたりする。大きな案件は統括官と一緒にくる。

国税調査官

(一般職)

小さな案件に一人でくる。当然、調査をまとめる権限はない

事務官

(新入社員)

調査官になる前で、経験を積むために、統括官などと一緒に調査を行います。

※ カッコ書きは私的なイメージです。

 

税務調査の流れを事前に知っておこう!!


① 事前通知

  • 税理士が関与している場合には、税理士に調査をしたい旨の連絡が入る。(調査の候補日や調査対象期間などの連絡)
  • 税理士とお客様とで日程調整を行う。
  • 税理士から調査官へ連絡を入れて日程調整を図る。 
  • 税務署から、税務調査の内容(期間・対象税目など)の通知が送られてくる。

② 事前準備

調査官から調査までに準備をしてほしい資料について指示があります。おおむね以下のようなものを用意してほしいとの依頼があります。 

  • 会社パンフレットや組織図など
  • 総勘定元帳3年分
  • 消費税の精算表(税理士事務所が申告の際に使用したものを用意します)
  • 一人別徴収簿(源泉税や架空人件費のチェックを行います)調査の際には実際にその従業員が存在するか否かをチェックします。組織図、内線番号表、タイムカードなどもチェックの対象となります。
  • 請求書綴り
  • 領収書綴り
  • 申告書・決算書 近年では調査のために申告書類の持ち出しができないため、お願いされることがあります。
  • その他 株主総会の議事録や取締役会の議事録、内部での稟議書なども確認をする場合があります。

③ 調査当日

調査期間は会社の規模などにより様々です。日程的に2日程度のものが多いため、今回は2日間の調査当日から終了までの流れを説明します。

 

【1日目 午前】

  • 10時開始が多いです。少し前に事務所の状況などを確認している場合もあります。
  • 1~2時間程度、会社の状況などをお話しします。(会社パンフレット・従業員の名簿・組織図などを見ながら社員の役割や命令系統などを確認します。)
  • 事前に調べてきた内容と状況確認をしながら、調査の方向性を考えています。
  • お昼を勧めても食べないように教育されています。(出前などをとってしまった場合には食べる場合もありますが、お金をきちんと支払ってきます) 

【1日目 午後】

  • 調査を本格的に始めます。
  • 調査官によっては、指摘事項に上がりそうな事項を話してくる場合もあります。
  • だいたい16時~16時半に終了します。 

【2日目 午前】

おおむね1日目の午後と同じような感じです。

ただし、1日目が終わり、調査内容を報告したことにより、調査方針が大きく変わることもあります。

 

【2日目 午後】

  • 13時から15時  指摘事項などをまとめます。
  • 15時から15時半 指摘事項に関するコピーなどの依頼があります。
  • 15時半か16時  指摘事項に関して総括が行われます。 

2日目が終わった時点では、指摘事項として検討したい事項が上がるだけですから、この時点で調査官と激しく議論してもあまり意味がありません。

 

④ 折衝期間

税務調査は、調査が終わってからが勝負の期間です。

指摘事項として上がってきたものについて反論材料がないか検討を行います。

税法に照らし、明らかに反論が無理なものは修正に応じる必要がありますが、グレーな部分については、税務署と折衝を行う必要があります。

当事務所では、必要に応じ、調査官の指摘事項に対し、税法や通達、不服審判所裁決事例、税務判決などを根拠とした「意見書」を税務署へ提出し論理的に反論を行います。

 

⑤ 修正・更正・是認

税務調査の結果、何も指摘がない場合には、是認通知が送られています。

残念ながら、指摘事項あり、直す必要がある場合には、修正申告を行うこととなります。

また、納税者としては、指摘事項に納得がいかないため修正を行う必要がないと考える場合には税務署が更正決定を行うことになります。

 

税務調査のダメージを少なくするにはどうしたらよいか?


申告自体を行っていない方

無申告の場合には、とにかく自主的に申告を行うことが重要です。

まず、自主申告を行った場合には加算税の率を低く抑えることが出来ます。

また、税務署は、無申告を最も悪質な納税者であると考えていますので、仮装・隠蔽の事実をつかみ、重加算税を課そうとしてきます。そのため、自主申告を行うことにより、重加算税を回避することが重要です。 

 

申告は行っているが、誤りを指摘された方

理論的な反論交渉力が試されます。

実際に税務調査を行う調査官である事務員、調査官、上席調査官には調査を取りまとめる権限はありません。彼らも統括官などに対し、調査の状況を説明する必要があるのです。

また、その上の統括官は会計検査院からのチェックが入るため、調査自体がきちんと法律に基づき行われたことを明らかに出来るようにしておく必要があるのです。

このシステムを理解し、調査官が上司に上手に説明出来るように、法的根拠等に基づく資料を提供し、時にはサポートをしてあげることが重要です。

調査官はいくつもの調査を平行して行っており、調査件数のノルマも存在するため、一件に対し時間をそれほどかけられません。そのため、反論資料や意見書などを提出することにより、調査官に対し、手ごわい納税者であることを認識させるとともに調査官が上司を説得できるような資料を用意してあげることはとても重要なことなのです。

税務調査を受けるときの5つの心構え


①嘘は言わない

下手をすると仮装、隠蔽と捉えられ、重加算税の対象となってしまうこともあります。

また、その業種に精通している調査官がやってくることもあり、下手な嘘をついたばかりに短い期間で終わるはずだった調査に、本腰をいれ調べ始めることもあります。

 

②調査官に暴言ははかない。

税務調査になると、調査官を目の敵にする社長さんもいますが、あまりお勧めはしません。

調査官も人間です。最低限のマナーを守り接するほうが良い結果を生みます。

 

③余計なことは言わない。

年配の調査官などは、気さくに話しかけてきたり、話しやすい雰囲気を作るようにして、納税者から、情報を引き出そうとしてきます。聞かれたこと以外は答えないほうが良いでしょう。

うっかり言った一言が、その後の調査を左右することを肝に銘じておくことが重要です。

 

④税理士に立ち会いを求める。

なるべく、税理士に立ち会いを求めてください。

調査官の質問の意図を理解し、フォローしてもらうことや違法調査が行われた場合には抗議してもらうことが重要です。

 

⑤違法な調査には断固抗議する。

任意調査は質問検査権により、納税者の協力のもと、行われるものです。

そのため、納税者の許可がない違法な調査は、質問検査権の乱用であることを主張し、

断固抗議を行いましよう。

 

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