新型コロナウィルスに伴う税制支援


新型コロナウィルスの感染拡大を受け、

政府は緊急経済対策を決め、雇用維持や資金繰り対策、給付金などの措置により中小事業者へのバックアップを行おうとしています。

 

弊所でもコロナの影響が出始め、資金繰りがひっ迫しているお客様については、補正予算が通り次第、融資申し込みが出来るように試算表や資金繰り表作成の準備を進めたり、補正予算が通った後の金融機関の混雑を見越して、事前に融資申し込みのお手伝いをしている今日この頃です。

 

さて、経済支援や資金融資に関する情報も次々に変わっている中で、

あまり脚光を浴びてはいませんが税制支援についても打ちだされています。

 

人によっては上手に利用することが出来るものもあるなあ・・・といった印象です。

 

そこで今回は経済活動が再開された後のことを考え「消費税の課税事業者選択届出等の提出に係る特例(案)」「簡易課税制度の適用に関する特例」を取り上げて考えてみたいと思います。

 

消費税の課税事業者選択届出等の提出に係る特例(案)


特例の概要


令和2年4月6日に政府から発表された「新型コロナウィルス感染症緊急経済対策における税制状の措置」に消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例について記載があります。

 

要点は3つ

 

  ①前年同月比で収入が50%以上減少している場合

   令和2年2月1日~令和3年1月31日の期間のうち1月以上の任意の期間でOK

 

  ②消費税の申告期限までに申請書を提出(承認を受ける)

 

  ③上記の①②の要件を満たせば

   消費税の課税事業者を選択する又はやめることが出来る。

  

 

そして、通常であれば課税事業者を選ぶと2年間継続しなければなりませんが、翌期以降は特例では課税事業者の選択をやめることも可能となるようです。

 

どんな場合に適用できるのか?


救済としての措置であることを考えれば、課税事業者を選択することにより、消費税の還付を受けることが出来ることを目的として制度設計がされていると思われます。

 

では、どのような方であれば、この特例を選ぶべきなのか?

 

消費税がかかる売上 - 消費税がかかる経費 < 0円

 

誤解を恐れず端的にいえば人件費や減価償却を除いたところで赤字」場合です。

 

この制度は使える制度なのか?


複数税率による消費税申告書の作成は各段に困難になった。

複数税率での消費税申告書作成にまだ慣れていないことも影響しているとは思いますが、簡易課税の場合はまだしも、原則課税の場合、消費税申告書の作成は非常に難易度が高くなりました。

 

今回の特例で恩恵を受けることが想定されるのは、コロナがなければ免税事業者だった人です。

  

法人の場合には、顧問税理士が付いているので、還付申告をすることは可能ですが、

個人の免税事業者は多くの場合、自分で申告をしているはずです。

 

そのような方が課税事業者を選択し、還付受けるために消費税申告書を作成するわけです・・・・・。

 

感想としては・・・「ほとんどの人が還付申告をするのは無理。」です。  

そもそも要件に合致する人は・・・・。

免税事業者で「人件費や減価償却を除き赤字」の人が還付を受けることができるわけですが、

この要件を満たす場合、資金的なゆとりがある事業者を除き、コロナウィルスが終結するまで事業継続を維持することが出来るかはかなり微妙ではないでしょうか・・・・?

 

簡易課税制度の適用に関する特例について


「消費税の課税事業者選択届出等の提出に係る特例(案)」についてはおそらく使うことはないのでは?と個人的には思っています。

 

しかし、災免法による「簡易課税制度の適用に関する特例」は利用するケースも出てくるのではないかと考えています。

 

通常時であれば簡易課税をやめようとする場合、原則としてやめようとする前事業年度までに簡易課税選択不適用届出書を税務署に提出しなければなりません。

 

ただし、今回は新型コロナウィルスの影響により被害を受けたことにより、税務署長の承認を受けることにより、その被害を受けた課税期間から簡易課税制度の適用を受ける(やめる)ことができます。

 

事業者によっては、消費税の申告時点で有利不利判定をして消費税の納税額を減額できる場合も出てきます。

 

コロナの影響により、事業構造が大きく変わってしまったような場合には、原則課税と簡易課税による納税額を今一度確認することにより税負担の軽減を図ることが可能になります。