最近の税務行政はDX化により、納税者自身が対応しなければならないことが増加しています。
過渡期のため、正直、楽になっているの?といえる状況に苦慮している税理士も多いのが現状です。
誰のためのDX化なのか・・・・・。
特に納税方法は国と地方公共団体により扱いが異なり、かつ、納税方法も多様化しているため、経理担当者がいないような会社はしっかりと把握しておく必要があると感じています。
そこで今回は他の税理士と最近の税務行政や納税方法について情報共有した際の会話をご紹介します。
~Fさんとの世間話~
ようやく確定申告も終わり、ほっと一息つける時期がきましたね。
今年の確定申告は初のインボイス対応のため、例年以上に大変でした。
そうですね。
インボイス対応はそんな大変か?という事務所と死活問題になるほど大変になっている事務所に分かれているようです。
弊所で確定申告のお手伝いをさせて頂いている方は不動産所得(居住用物件)が多めのため、それほど大変な状況にはなりませんでした。
弊所は事業所得の方の割合もそれなりにボリュームがあるため、例年よりも大変な思いでまとめ上げた感じでした。また、翌年以後の消費税についても検討しておく必要から報告に時間がかかった気がします。
確定申告だけのお客様は年1回しかお話しないため、今年はインボイスの他にも電子帳簿保存法などについての質問が多かったです。
最近はインボイス制度、電子帳簿保存法、など税務行政の変化は目まぐるしいですね。
定額減税なんて今年限りの選挙目当のおかしな制度まで導入されてうんざりです。
先日はNHKでインボイス制度導入により廃業が多かった業種で意外にも1位は税理士という状況だと報道されていました。
税理士の高齢化とインボイス制度の導入による手間の増加が原因だとインタビューに答えていた税理士が言っていましたね。
その話、税理士の一部で話題になってますよね・・・・・。
私もそのニュースをみていましたが衝撃的でした。
確かに税理士は平均年齢が60歳を超え高齢化が進んでおり、税務行政の変化のスピードについていけない場合、廃業という選択肢も出てくるかもしれません。
実際に支部会に出席した際に聞いた話ですが関信越会の三●市では税理士の廃業が数人でて、廃業した税理士の顧問先の引受先を探すのに苦労したと言っていましたね・・・・。
ところで私個人としては最近気になっているのが、納税方法です。
役所は明らかに納付書による納付を少なくしてキャッシュレス納付を進めようとしています。(納付書の発送もe-taxにて申告をしている法人は消費税を除き廃止されます。)
キャッシュレス決済を増やすことは歓迎しますが、国、県、市と納税システムが異なり、かつ市区町村によっても方針が異なっているため非常に混乱しています。
個人事業主の場合には振替納税を選択している場合がほとんどのため、納付書が送られてこなくても問題はありませんが、法人については振替納税が出来ないため個別把握が必須です。
e-taxやLタックスで申告をしている法人に対して納付書が郵送されるか否かは私が確認した限り以下のとおりです。
令和6年5月から国税のやり方が変わるため、特に中間納税は混乱必至です💦
法人税 郵送なし
消費税 郵送あり
法人都民税(東京都) 郵送あり 法人県民税(埼玉県)郵送なし
法人市民税 市区町村により異なる。 越谷市:郵送なし 川口市:郵送あり 草加市:R7年から郵送は廃止予定だが、R6年は従来通りの郵送あり
なるほど、こう見るとぐちゃぐちゃですね💦
私の事務所でも対応を協議しています。
一つの方法としては決算報告の際に中間納付が発生する会社は中間分も納付書を渡してしまうこともありだと思っています。
そうですね。
納付方法も現在は複数あり、かつ、国税と地方税のシステムが異なる以上、全部の法人について一律した対応を行うには現状では限界があります。
また、電子申告をしている先でも県税から中間の納付書が送付されている先もあり、何を基準に郵送しているかわからないんですよね。
そもそも、資金繰りに問題がある会社にダイレクト納付は進められないですし・・・・。
納付方法が多いのは便利ですが、我々税理士はお客様(法人)の納付方法が以下のどれに該当するかを個別に管理する必要が出てくるかもしれませんね。
以下の税金の納税方法のみピックアップ
※ 国税:法人税、地方法人税、消費税
※ 地方税:法人県民税、法人市民税、事業税
【国税】
納税方法 | 具体的な手順等 |
ダイレクト納付(令和6年4月より改正) | ①ダイレクト納付利用届出書を税務署へ提出 ②e-taxで電子申告を行う際に自動ダイレクト項目にチェックして送信 ③自動ダイレクトの引き落とし確認すると納付日に自動引落がかかる |
ネットバンキング納付 | e-Taxから金融機関のウェブサイトにリンクして納付する方法。e-Taxの利用登録と、インターネットバンキングの契約が必要です。e-taxソフトを操作する必要あり。 |
クレカ納付 | 「国税クレジットカードお支払サイト」を通じて納付。事前に利用届出などは行う必要がないため簡単だが、納付税額1万円毎に76円(消費税別)の決済手数料がかかる。 |
スマホアプリ納付 | スマホアプリ納付とは、国税庁長官が指定した納付受託者(GMOペイメントゲートウェイ株式会社)が運営するスマートフォン決済専用のWebサイト(国税スマートフォン決済専用サイト)から、納税者が利用可能なPay払いを選択し、納付受託者に納付を委託する方法 ただし、現時点では30万円を超える場合には利用することが出来ない |
納付書による納付 | 従来通り納付書により、金融機関の窓口等で納付する。 |
【地方税】
納付方法 | 具体的な手順等 |
地方税共通納税システムを利用した納付 ①ダイレクト納付 ②ネットバンキング ③ATM等 ④クレカ払い | eLTAXにて ①納税情報の発行を行う。 ②支払方法の選択を行い納付。 ・ダイレクト納付は事前に金融機関の登録が必要 ・クレカ払い 手数料がかかる。 |
納付書による納付 | 従来通り納付書により、金融機関の窓口等で納付する。 |
表にしてみると実にたくさんありますね。
しっかりした経理担当者がいれば対応できると思いますが、社長や奥さんが片手間で経理をしている場合には日々の仕事に追われながら納税関係をすべて把握して納付手続きまですべてこなすことは難しいかもしれません。
最低限、国と地方自治体が足並みを揃えてくれるとよいのですが・・・・・・。
そうですね。
当面は申告時と中間納付の際に納付方法についても打ち合わせをしながら検討していくしかないでしょうかね・・・・・。
~まとめ~
・令和6年5月より国税から納付書が一部届かなくなる。
・地方税については各役所ごとに対応が異なるため注意が必要。
・中間納税が発生する法人については各役所から納付書が届かなくても自主的に納税を行う必要があるため注意が必要