建物の税務上の耐用年数を求める場合には財務省が定める「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」により判断がされます。
この省令では資産の種類・構造・用途・細目とかなり細かく区分されており、取得した資産がどの分類に該当するのかが分かれば容易に法定耐用年数がわかるようになっています。
ただし、実務上は取得した資産がどの資産区分に該当するのか判断が困難な場合も多いのが現状です。
以下では、実務上判断が難しい鉄骨造りの建物をどのように区分すればよいか整理したいと思います。
※ 本記事は「住宅用」の鉄骨造建物を前提としています。

軽量鉄骨及び重量鉄骨の耐用年数
「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」では鉄骨造の建物(住宅用)は以下のように規定されています。
金属造のもの(住宅)
骨格材の肉厚が4ミリメートル超 34年 (重量鉄骨)
骨格材の肉厚が3ミリメートルを超え4ミリメートル以下のもの 27年 (軽量鉄骨)
骨格材の肉厚が3ミリメートル以下のもの 19年 (軽量鉄骨)
「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」を参考に一部加筆
骨格材の肉厚とは何か?
通常、お客様が建物を購入した場合、建物の全部事項証明書を頂き、そこに建物の種類・構造が記載されているため、その建物が「鉄骨造」であることまでは容易に判断がつきます。
しかし、全部事項証明書には骨格材についての記載はないため、ここから、「骨格材の肉厚」についての確認はどのように行えば良いのかという疑問が生じます。
そこから骨格材というものが何であるかを条文上確認するのですが、この骨格材とは何を示すものであるか少なくとも私が調べる限りでは記載されているものはありません。
そこで骨格材について建築用語を解説している文章などを確認してみると「建物や工作物の主要な構造(柱や梁など)を支えるための鉄骨の部材」と出てきます。
では一体、その主要部材の肉厚はどのように確認すればよいのでしょうか。
確認の方法としてはいくつか存在すると思いますが一般的には以下のような方法となるでしょう。
1 設計図面(構造図)で確認する
2 ハウスメーカーや施工会社に問い合わせる
3 市役所で確認を行う
骨格材の厚みを確認
設計図面(構造図)には鉄骨の厚みが記載されています。
そのため、新築建物などで設計図面が残っている場合には、図面に記載されている骨格材の厚みを確認することにより耐用年数の判定を行えます。
また、ハウスメーカーや施工会社に問い合わせをすることにより簡単に判断することができる場合もあります。
しかし、中古の場合には図面がない場合も多く、判断が難しい場合があります。
このような場合には市役所の固定資産税課へ行き「固定資産課税台帳の閲覧」をすることにより、建築当初の図面により市役所がどのように判断をしたのかを確認することができます。
まとめ
建物の耐用年数は減価償却費の金額に影響するため、慎重に判断を行う必要があります。通常であれば全部事項証明書を取得し、住宅利用か事務所利用かなどの利用状況を確認すれば耐用年数を判定することが出来ます。
しかし、鉄骨造の建物である場合には、骨格材の肉厚を確認するという実務上厄介な問題があります。主要部材の肉厚を十分に確認せずに耐用年数を判定してしまうと、減価償却費の計算を誤る可能性があるため注意が必要です。
ひらい税理士事務所 代表税理士
埼玉県越谷市・草加市を中心とした近隣地域において、地域密着型の税理士として活動。
地域金融機関や関連他士業等とのネットワークを活かし、法人決算業務にとどまらず、資金繰り・融資支援、税務調査対応、相続税・資産税業務など、経営者の幅広いニーズに対応。
これまで多くの税務調査に立ち会ってきた経験と、金融機関を意識した決算・申告書作成には定評があり、経営の安定と将来の発展を見据えた実践的なサポートを行っている。
