会社設立をする際に、実務上よくあることとして登記上の本店所在地をどこにするかという問題があります。
登記上の本店所在地と事務所所在地は同一となることが多いですが、登記上の本店所在地と本店事務所地が別の場所でも問題はありません。ただし、届出書に注意が必要です。
以下では、本店所在地と事業所が異なる場合の届出についての注意点をご紹介します。

本店所在地と事業所が異なる場合の設立届に関する注意点
本店所在地と実際の事業所が異なる以下のような場合には注意が必要です。
- シェアオフィスの所在地を本店登記し、実際の事務所は自宅
- 自宅を本店登記し、実際の事務所は賃貸にて借りている物件
税務署への届出
法人設立をした後は法人に関する申告や届出書の提出は登記簿上の本店所在地を所轄する税務署へ行います。
そのため、実際の事務所が他の場所にあっても問題は生じません。
地方税(県税事務所や市役所)
本店所在地と実際の事務所が同一の市にある場合には大きな問題はありませんが、市が異なる場合には注意が必要です。
法人の場合には事業所が所在する場所ごとに法人住民税均等割りという税金がかかるからです。
そのため、うっかりすると法人の本店所在地を管轄する自治体と実際の事業所がある自治体のそれぞれの法人住民税均等割りが課されることになってしまいます。
このような「うっかり」にならないようにするため、届出を行う際には工夫する必要があります。
実際の手続きと届出書の書き方
【事例】
本店所在地:川口市
実際の事務所:越谷市
このような法人があった場合の法人設立届出の提出先と届出書の記載方法について解説します。
法人設立届出書の提出先と記載例
法人設立届出の提出先は大きく分けて県税事務所と市役所の2つです。
県税事務所については県が管轄であり、川口市と越谷市は同じ埼玉県のため、本店所在地の管轄税務署に合わせることになり川口県税事務所へ提出します。
市については川口市役所と越谷市役所の二か所へ提出することになります。
川口市役所に提出する法人設立届出書の備考欄に「本店所在地で事業は行わない」と記載したうえ、提出をしましょう。
本店所在地が川口市にあるため、事業をしない場合でも川口市役所へ法人設立届出は必要になります。
(記入箇所例)

また、越谷市役所については、事業所があるため、備考欄には何も書かずに主たる事業所に越谷市の事業所所在地を記入して法人設立届出書を提出する必要があります。
ただし、自治体の場合、地域が異なると判断も異なる可能性があるため、最終的には本店所在地と事業所を管轄する自治体に確認することが大切です。
参考:法人設立届出書を各役所へ提出する際の添付資料
提出先 | 法人設立届出書に添付する資料 |
税務署 | 定款コピー ※登記簿謄本は不要になりました。 |
県税事務所 | 定款コピー 登記事項証明書のコピー |
市役所(本店所在地+事業所のいずれも) | 定款コピー 登記事項証明書のコピー |
参考ブログ
会社設立時に気をつけたい注意点を実際の相談事例から紹介します。(重要度レベル付)
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