個人事業を営んでいる方の中には、「所得税や消費税よりも、住民税や国民健康保険税のほうが重く感じる」と思っている方も多いのではないでしょうか?
今回は個人事業主で住民税や国民健康保険税の負担に困っている方について、「埼玉県越谷市」を例として取り上げてどのような対策が有効であるかをご紹介します。
この記事では、
- 越谷市の住民税と国民健康保険税の基本の計算方法
- 越谷市の住民税と国民健康保険税の節税のために実際にできる対策
を、わかりやすく解説していきます。

細かな制度や難しい内容は省略し、「重要なポイント」に絞って説明しています。
この記事を読むことで、住民税や国民健康保険税への理解が深まり、実際にあなたの住んでいる市区町村でも使える節税のヒントが見つかるはずです。
負担軽減策を実行するために理解必須。住民税と国民健康保険税の計算方法の概略【越谷市での計算例】
負担軽減策を実施するためには、大まかでもよいので、住民税と国民健康保険税の計算方法を理解しておく必要があります。
以下では「埼玉県越谷市」での住民税と国民健康保険税の計算方法を大雑把にご紹介します。(国民健康保険税は他の市町村では下記以外にも平等割や資産割も入ってくることもあります。ただし大雑把な仕組みはほぼ同じです。)
【埼玉県越谷市の住民税と国民健康保険税】
住民税、国民健康保険税は、いずれも前年所得に基づいて所得割+均等割で構成されます。
越谷市の住民税の計算方法
住民税は、前年所得に基づいて「所得割」+「均等割」で構成されます。
所得割:前年の課税所得 × 10%
均等割:一律課税(令和6年度の場合:5,000円)×人数
※課税所得 = 総所得金額 + 分離課税対象所得 - 所得控除
越谷市の国民健康保険税の計算方法
国民健康保険税は、医療保険分、後期高齢者支援金等分、介護保険分(40歳から64歳の人)の合計額により算定されます。加入者が複数の場合は、それぞれ同様に計算した合計金額が世帯主に課税されます。
すべてに該当する人の場合には
国民健康保険税=所得割「(総所得金額ー基礎控除)×12.2%」+均等割「(31,900+11,500+12,000)
参考:基本の計算式(越谷市役所HP「国民健康保険税の年税額計算」より)
① 医療保険分(0~74歳)
医療保険税額 =(総所得金額 – 基礎控除)× 7.5% + 31,900円 ※上限65万円
② 後期高齢者支援金分(0~74歳)
支援金税額 =(総所得金額 – 基礎控除)× 2.5% + 11,500円 ※上限24万円
③ 介護保険分(40~64歳) ※対象者のみ(該当者=被保険者の中の40~64歳の人)
介護保険税額 =(総所得金額 – 基礎控除)× 2.2% + 12,000円 ※上限17万円
住民税・国民健康保険税の負担軽減策【越谷市を例として】
住民税・国民健康保険税の負担が少なくなるにはどこに手を打てばよいか
国民健康保険税と住民税の負担を抑えるには、それぞれの計算に使われる所得の定義に注目することが重要です。
改めて住民税と国民健康保険税の計算で使われる「所得」を確認します。
住民税 課税所得
国民健康保険税 総所得-基礎控除
つまり、住民税は「所得控除を増やすこと」で対策できますが、国民健康保険税は総所得を減らさない限り負担軽減効果は期待できません。
7つの負担軽減策
倒産防止(経営セーフティ共済)
中小企業倒産防止共済は、中小企業の連鎖倒産防止を目的で作られた制度ですが、節税方法としてよく用いられる制度です。月の掛金は5000円から最大20万円まで選択でき、年間最大240万円、上限800万円まで積み立てられます。
総所得を直接減らせるため、住民税・国民健康保険税の両方の節税に有効な対策です。
参考ブログ:倒産防止共済掛金に関する明細の添付漏れに注意
青色申告にて確定申告を行う。
個人事業主が確定申告を行う場合、白色申告と青色申告の2つの種類があり、青色申告には「簡易帳簿方式」と「複式簿記方式」の2種類があります。
複式簿記で経理を行った場合には、最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。青色申告特別控除は事業所得から控除され、総所得金額を減らすことができるため、住民税・国民健康保険税の両方の節税に有効です。
世帯合併・分離
国民健康保険税を安くする方法に、2つ以上の世帯を1つの世帯にする世帯合併という方法があります。
世帯合併により国民健康保険税の「世帯上限」が活かされて、保険税が安くなることがあります。
逆に、世帯分離によって世帯人数が減り、均等割の負担が軽くなるケースもあるため、状況に応じて見直しを検討しましょう
マイクロ法人(複数事業展開をしている人)
マイクロ法人を設立し社会保険に加入することで、国民健康保険税の支払い義務をなくすことが可能となります。
国民健康保険税の代わりに社会保険料を支払う必要性が生じますが、役員報酬を低く設定することで社会保険の負担を最低限金額まで抑えることが可能です。
参考ブログ:マイクロ法人の相談事例・メリットとデメリットは?
国保組合への加入
国民健康保険税は基本的に市区町村が運営していますが、特定の業種・職域の人たちが自ら組合をつくって運営する形も認められており、それが「国民健康保険組合」です。
国民健康保険税よりも保険料が安いことがありますが、会費がかかったり、団体色が強い場合もあるのでよく情報を確認してから加入するほうが良いでしょう。
参考ブログ:個人で建設業を営んでいる人が入れる国民健康保険組合について比較してみた。
扶養を変更する。(均等割り)
夫婦でどちらかが会社員、もう一方が個人事業主のような場合には、子どもをどちらの扶養に入れるかで均等割りの負担が変わる可能性があります。
たとえば:
- 夫:会社員(健康保険加入)
- 妻:自営業(国民健康保険加入)
このような場合、子どもをどちらの扶養に入れるかで負担が変わる可能性があります。
- 子どもを夫(会社員)の社保扶養に加入させる場合:子どもの分の国保料は不要
- 子どもを妻(自営業)の国民健康保険に加入させた場合:子どもの分の保険税が加算される
国民健康保険税 減免制度(越谷市の場合)
越谷市では、所得の減少、失業、災害などで生活が困難な場合、申請により国民健康保険税の一部または全額が減免される制度があります。18歳未満の子どもが3人以上いる多子世帯は、3人目以降の均等割が全額免除されます。また、一部負担金の減免や納付猶予制度も用意されています。申請には、本人確認書類や、所得・失業を証明するための書類が必要です。
まとめ
住民税・国民健康保険税の節税を考えるなら、以下のポイントが重要です。
- 「総所得」を減らす施策が、国民健康保険税対策のカギ
- 「所得控除」を活用すれば、住民税対策に有効
- 経費計上・共済加入・青色申告・世帯構成の見直しなど、実行しやすい節税策も多数
「よくわからないから…」と何も対策を取らないのが一番もったいない状況です。
できるところから、少しずつ見直してみましょう。