年々社会保険の負担が重くなる中、工夫次第で負担が軽減することもある社会保険。
社会保険は損得ではなく相互扶助ということは頭では理解してはいるものの、年金は多く収めた人と少なく収めた人の差が将来の受給金額に少なからずとも反映されるけど、健康保険は多く収めた人が手厚い医療を受けられるわけではないので極力抑えてたいと考える方は多いです。
先日も建設業を一人親方として営んでいるお客様と打合せをしている際に国民健康保険が話題になりました。その際に改めて勉強になったこともあったため、今回はその際の打合せ内容の一部をご紹介したいと思います。
※事案は匿名かつ概略のみとし、事実関係を一部変更したうえご紹介しています。
相談者:Aさん 45歳 (妻(40歳)はパート収入100万円 お子さん1人(小学生)
Aさんの収入 売上2000万円 事業所得850万円 所得控除200万円
埼玉県〇〇市で一人親方(建設業)
今年も国民健康保険の通知が来ましたよ・・・・。
総額で102万円。
今までも高いなぁと思っていましたが100万円を超えたことは無かったので正直驚きました。
社会保険は相互扶助のため、ある程度は仕方ないとしても、最近は高齢化が進んでいるため現役世代の負担が重すぎますよね・・・。
特に健康保険は多く収めた人のメリットはほぼ皆無なので、何とか少なくしたいと考える人は多いです。
私の仲間は負担軽減のため、国民健康保険組合に加入する人も多いです。
仲間からは国民健康保険組合に加入すると国民健康保険料の負担が軽減される代わりに組合費の負担や組合の活動などがあると聞いていたので入っていませんでした。
今回は今後のことを考えて加入を検討する必要があるかなと思っています。
そうですね。
国保組合は人によっては大幅な負担軽減になるので金銭的には十分検討余地があると思います。
ところで、私の場合にはどのような組合に入れるのでしょうか?
埼玉県で建設業を営んでいる方は私が調べてみた限り以下のような国民健康保険組合に加入できるようです。
調べてみると意外に多くの国保組合があってビックリしました。
以下の中には実際に弊所のお客様が加入されている国保組合もありますが、今回調べてみて初めて知った国保組合もあります。
①埼玉県建設国民健康保険組合 (定額・埼玉に支店等あり)
②埼玉土建国民健康保険組合 (定額・埼玉に支部等あり)
③全国土木建築国民健康保険組合(標準報酬月額・支店の有無不明)
④全国左官タイル塗装業国民健康保険組合 (定額・埼玉に支部等あり)
⑤中央建設国民健康保険組合(定額・埼玉に支店なし)
⑥全国建設工事業国民健康保険組合(定額・埼玉に支部等あり)
⑦建設連合国民健康保険組合(定額・埼玉に支部等あり)
各国保組合について知らべてみると政府管掌の健康保険のように標準報酬月額により負担額が変動する国保組合もあるようです。
国保組合に加入する個人事業主は所得変動に伴わず一定額を納めることとされている組合を望む方が多いため、以下では国保の月額保険料が一定額となっており、かつ埼玉県に支部等がある組合について比較検討してみました。
国民健康保険組合の比較(R5年8月現在) Aさんの場合(一人親方(40代)+配偶者(40代)+子1人(小学生)
埼玉県建設国民健康保険組合 | 埼玉土建国民健康保険組合 | 全国左官タイル塗装業国民健康保険組合 | 全国建設工事業 国民健康保険組合 | 建設連合国民健康保険組合 | |
埼玉支店場所 | 埼玉各地に事務所あり 30か所弱 | 埼玉各地に事務所 あり 40か所弱 | 埼玉に2か所 所沢・鴻巣 | 埼玉に3か所 川越・鴻巣・岩槻 | 埼玉に1か所 浦和 |
組合費 | 支部により異なるが月額5~6千円/前後 | 年齢により異なるが4000円~6000円程度 | 支部により異なるが4000~5000円/月 | 一人親方労災が母体のため、原則労災加入。 加入しない場合には組合費負担3000円/月 | 3000円/月 |
法人成り時の除外申請を行った場合の移行可否 | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 | 不可 |
保険料 | 38,700円/月 464,400円/年 | 52,000円/月 624,000円/年 | 33,700円/月 404,400円/年 | 41,600円/月 499,200円/年 | 39,200円/月 470,400円/年 |
※記載している情報はHPや電話で担当者の方へヒアリングした事項を含んでいますので加入の際はご自身で正確な情報収集をしてください。
我が家の場合には組合費を考慮しても国民健康保険の負担額が半分程度で収まるということですね。
Aさんの場合には所得も多いため、負担がほぼ半額になりますね。
逆に所得が少ない人は国保組合のほうが負担が多い場合もあるため、ご自身が置かれている状況に応じて加入を検討することがポイントです。
また、国保組合によっては、保険料の軽減以外にも通常の国保では対象外となっている傷病手当金が出たり、お祝い金をもらえたりと国保にはないメリットもあるようです。
ただし、組合や加入する支部により、支部での活動や集会などもあり、こんなはずではなかったというような話も聞くことがあるので実際に加入している人などから情報収集をしてから加入することをお勧めします。
なるほど。
国保組合によって違いが色々あることが分かりました。
各国保組合の特徴を理解したうえで加入を検討したいと思います。