相続税申告・相続対策

改正予定の相続時精算課税について考えてみる。

令和5年度の税制改正で注目が集まっている相続時精算課税。

今までよりも随分と使い勝手がよくなると言われているものの実際のところはどうか?

資産税を多く手がけているO税理士と改正される相続時精算課税についてお話をした際の会話をご紹介します。

暦年課税・相続時精算課税の改正内容(適用時期 令和6年1月1日以後)

(1)暦年課税

①相続開始前贈与の相続財産への加算期間を現行3年➡7年へ延長

②延長する4年間に受けた贈与は相続財産への加算額から総額100万円を控除する。

(2)相続時精算課税

①贈与税の課税価格から基礎控除額110万円を控除する。更に相続時にその分の加算が不要。

ひらい
ひらい

令和5年度の税制改正で相続時精算課税制度の大幅改正が予定されていますがどう感じましたか?

Oさんの事務所は資産税メインだから今後の資産承継方針などに今回の改正により大きな影響があったりしますか?

O税理士
O税理士

そうですね。

従来方式の際は一度相続時精算課税を選択するとその後の贈与に大きな制約があったため、適用する際は慎重でした。

今回の改正では従来よりも使い勝手はよくなったものの、私のスタンスとしてはあまり変更ないと思います。

ひらい
ひらい

私の場合、相続時精算課税を利用するケースは大きく2つです。

①相続税がかからないか、相続税負担があまりないようなケース

②贈与候補の資産が今後必ず価値が上昇するようなケース

今まで精算課税を利用したことがある事案は、住宅資金の贈与が大半でしたし、相続税がかからないと見込まれる方が利用の中心でした。

あとは、今後株価が上昇することが明らかな法人についても適用したことがあるぐらいです。

O税理士
O税理士

私も似たようなものですね。

相続時精算課税制度は一度適用すると相続までに動きが制限されてしまうことが一番の問題点です。そういう大きなリスクを孕んだ制度であるため、我々のような専門家が付いている資産家が積極的に利用することは今まで通りあまりない気がします。

ひらい
ひらい

確かに相続時精算課税を安易に利用すると臨機応変な対応が難しくなる局面があります。

今回の改正では110万円以下の贈与については相続時にもち戻しがないことになっていますので多少は使い勝手がよくはなりましたが、相続税対策をする必要がある規模の資産家にとってはさほど重要な改正とは私も思えませんね。

O税理士
O税理士

そうですよね。

資産規模が大きい人にとって、贈与を利用する理由は相続税率と贈与税率を利用して税負担の軽減を図ることです。

そのため、今回の改正のように暦年贈与と同じ110万の非課税枠が創設されたところで積極的に利用する意味は見出せません。

ひらい
ひらい

ただ、暦年課税の見直しで相続財産への加算期間が7年になると、相続税申告の際に加算対象を確認する作業が今まで以上に大変になりますね・・・・。

延長4年間に関しては加算額から100万円を控除するなどというおまけつきですし(汗)

O税理士
O税理士

確かにそうですね(笑)

税務当局としては精算課税の利用を促進させて、課税強化をしようという意図もあるのではないかと私は考えています。

精算課税は一生涯の贈与が相続時に相続財産に加算できますからね。

110万円というにんじんをぶら下げておいて、大きな資金移動についてはしっかりと制限を設ける意図かもしれませんね。

ひらい
ひらい

確かに・・・・。

過去の相続税申告を思い出してみると富裕層とまではいかない中間層の方ほど、変な資金移動をしているケースが多いような気がします。

富裕層の方は我々のような専門家が付いており、適法に資産承継をしていることが多いですからね・・・・。

精算課税の基礎控除を創設して精算課税適用者を増やし、多額の贈与をしっかり管理しようという国税の意図がうかがえる改正になっているわけですね。

O税理士
O税理士

まあ、それは私の個人的な意見ですが・・・・。

ひらい
ひらい

やはり、改正により相続時精算課税が少しばかり使いやすくなっても一度選ぶと暦年課税に戻せないだけに慎重に判断する必要は今後もありそうですね。

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