職業柄、融資に関する相談を受け、場合によっては不安なので同席してほしいと依頼されることがあります。
融資を受けるのは本人のため、私は極力、話をせずに聞き役になっていますが、融資を申し込むにあたり、大切なポイントについて話が出来ていないことがあります。
例えば、融資を申し込む際、以下のような感じです。
「建設業を法人で営んでいますが、資金が苦しいので可能な限り多く融資をしてほしい」
如何でしょうか?
こんな申し込みをしていませんか?
これでは金融機関は融資をしたくても出来ません。
金融機関から融資を受けたいと考えた場合、金融機関がどんな相手であれば融資をしたくなるのかを考えてみる必要があります。
あなたがお金を貸すのであれば相手に何を聞きますか?
どんな相手であれば融資をしたくなるのか?ということは意外に簡単です。
それは、あなたがもしお金を貸すのであれば、貸してほしいという相手にどんなことを聞くのかを想像してみればよいのです。
例えば、私なら以下①~⑩のようなことを聞きます。
① どんな職業・商売をしていますか?
② 商売では儲かっていますか?
③ なぜお金が必要なのですか?
④ 貸したお金を何に使いますか?
⑤ いくら必要ですか?
⑥ どのように返してくれますか?
⑦ いつ返してくれますか?
⑧ 返せない場合には、お金の代わりに物をくれたり、別の誰かが返済してくれますか?
⑨ 貸した私にはどんなメリットがありますか?
⑩ 今後も追加でお金が必要になりますか?
恐らく、ほとんどの方は確かにこのくらいのことは聞きたいかもなあと思ったはずです。
自分が貸す側であれば考えられても、お金を借りたいと考えた人は、貸し手の気持ちを無視して、自分の都合ばかり話し、貸せるだけ貸してくれと頼むだけでは上手くいくわけがありません。
金融機関の稟議書
金融機関も上記①~⑩のことは聞きたいと考えています。
そのため、金融機関が融資判断を行う際に作成する稟議書とその付属資料には①~⑩に該当する下記の事項を記載しなければならないことになっており、良い稟議書とは下記の7つが記載がされているものだと言われています。
- 会社の概要①② どんな企業に融資をするのか、貸せるような相手先か
- 要資理由③ なぜ必要なのか
- 資金使途④ 何に使うのか
- 調達⑤ いくら必要なのか・その金額は資金使途から見て妥当なのか
- 返済 ⑥⑦ 業績から見て返済額や返済期間は妥当か?
- 保全 ⑧ 返せないときの保証はどうか、もしもの時はどれくらい損が生じてしまうか
- 取引妙味 ⑨⑩ この企業とビジネス(融資)をして得があるのか
そして、これら1~7の裏を取るために財務諸表、資金繰り表、事業計画書などの提出を求めてくるわけです。
まとめ
金融機関から融資を受けるという行為はビジネスです。
ビジネスである以上、取引相手が何を大切に考えているのかを理解することにより成功する率が変わってきます。
融資を申し込む前には稟議書に記載される上記の7つのことを意識して金融機関の担当者が良い稟議書を書けるように協力することがスムーズな融資を受けられる近道になります。