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確定申告時に相談が多い法人設立の真実!


確定申告時には、事業所得があるフリーランスの方や不動産所得がある個人事業主の方から様々なご質問を頂きます。

(記事は青字のみを読めば約3分で読めます。)

例えば、

・事業所得や不動産所得はいくらから申告が必要?

・必要経費は一体どこまで認められるのか?

・専従者給与を支払う場合の要件は?

・青色申告と白色申告の違いは?白色申告は帳簿を作成する必要があるのか?

・事業所得や不動産所得でマイナスになったらどうすればよいのか?

・副業や内職を会社にバレないようにするにはどのように確定申告をすればよいのか? 

・ヤフオクやメルカリ、アフェリエイトの収入は確定申告する必要があるのか?

等々、実に様々です。

そのなかでも、フリーランスの方や個人事業者の方から特に多い質問が「法人化」です。

インターネットで「法人設立 有利不利」などと検索してみると実に様々な情報がでてきます。

あるサイトでは売上1000万円あれば法人設立すべき、とか、別のサイトでは所得金額500万円あれば法人設立を勧めていたりします。

情報が溢れ、一体いくらの売上高・所得であれば法人化したほうが有利になるのか?といった質問は本当に多く寄せられます。

そこで今回は法人成りについて、私自身感じていることを業界の人間の立場から書いてみることにしました。

この記事では、法人成りのボーダーラインや分岐点などはご紹介しませんが、法人成りについてどのような切り口で検討すべきかは判断がつくようになると思います。

法人化が勧められる業界的な理由


インターネットで検索すると法人化のメリット・デメリットが色々書かれています。

ただ、基本的には、メリットばかりが強調されているように思えます。(あくまで私見ですが・・)

それもそのはず、注目すべきはメリット・デメリットを記載しているページを運営している人です。

多くが税理士、司法書士、行政書士、会計ソフト会社などではないでしょうか?

(私も税理士ですが・・・・)

司法書士・行政書士は法人設立のための手続きの受任。

税理士であれば、決算・顧問業務。

(法人設立を無料で受けたあとに顧問業務を押し売りするような事務所も・・・・)

ソフト会社ではソフトの利用料というように儲けに繋がります。

そして、様々なホームページで「うちに依頼してもらえば、簡単に、しかも安く法人設立できますよ。」と掲載されているのを目にします。

しかし、私は法人化を安易にすべきではないと考えています。

弊所では、法人成りの相談は確定申告時期に特に多く頂きますが、しっかりお話しを聞いたうえで3~4割程度のご相談者の方しか法人化は勧めません。

最も重要な法人化の目的


私は法人成りのご相談を受けた場合に、

必ず確認することがあります。それは「法人を設立する目的」です。

これは非常に重要です。

法人化の目的は以下のようなものに大別することが出来ます。

  1. 節税になると聞いたから
  2. 法人でないと取引に制限がある(個人事業では取引してもらえない)
  3. 個人保証の問題があるので法人化したい。
  4. 仲間と独立するため法人化したい。

節税になると聞いたから

法人化を検討する最も多い理由かと思います。

しかし、私が最も反対する目的でもあります。

確かに税金だけを考えると得になるケースは多くあります。

しかし、社会保険・法人の維持費(税理士費用等)なども考えるとメリットが大きく出てくるケースは意外に少ないのが現状です。

消費税の納税義務が2年間外れるとしても、それは一時的に外れるだけであり、タイミングは売上が1千万円を超えたときでなくてもよいわけです。

もし、節税目的で法人成りするのであれば、税金だけではなく、社会保険や維持費用も含め、十分効果が望めるかどうかも検討し、法人を設立されることをお勧めします。

法人でないと取引上の制限がある・個人保証の問題

個人事業主として建設業を営んでいる方からよく聞かれる理由です。

この場合には、法人化をすべきかと思います。

取引上の制限がある場合には法人成りをすることにより、一般的には信用力が増加します。

また、取引規模が大きくなると個人保証の問題も非常に重要です。

商売を大きくするためには法人成りは必須です。

上記の節税も踏まえ、有利な形で法人成りを進めましょう。

仲間と一緒に独立するため

一緒に仕事をしている仲間と独立する方も多いと思います。

このような場合はケースバイケースです。

例えば、一緒に独立する仲間のなかで上下関係(上司と部下のような)があり、独立後もそれを維持するような場合には無理して法人化しなくても良いと思います。

しかし、独立後はすべて平等にして事業を行っていこうと考えている場合、法人化は必須です。

仲間同士で事業をせっかく始めたのにうまくいかなくなる原因の一つは金銭問題です。

個人事業のままだとその事業に係るすべての経費・税金などを平等負担することは極めて困難です

そのため、法人を設立し、経費の負担は法人が一括して行い、そのうえで、利益を折半するほうが平等感が生まれます。

法人成りをする場合の資本金はいくらにすべきか?


いざ、法人化を進めるにあたり、資本金をいくらにすべきか?といった問題も非常に多く頂く質問です。

この質問に対する答えとしては、つの視点により検討してもらっています。

  • 資本金1千万以下
  • 信用力の問題
  • 許認可による最低資本金額
  • 運転資金
  • 資金調達

1 資本金1千万円以下

法人設立をする場合、資本金を1千万円以上とした場合、初年度から消費税の納税義務が発生します。そのため、一般的には資本金は1千万円未満とするケースが圧倒的に多いのが現状です。

2 信用力の問題

近年は最低資本金の考えがなくなり、1円からでも会社が作れるようになりました。

そのため、資本金は極力入れたくないという方がいます。

しかし、私は極力多くの金額を資本金としてもらうことにしています。

理由は明白です。

例えば、新しく取引をする会社の登記簿謄本を確認したときに資本金が1円であった場合、みなさんは取引をしますか?ちょっと考えてしまうのではないでしょうか?

3 許認可の問題

資本金の問題でうっかり忘れがちになるのが許認可の問題です。

例えば、設立当初から建設業の許可を取ろうとする場合には500万円が必要です。

法人成りしたあとに許認可を受ける必要がある場合には、自身が取得する許認可について最低資本金要件がないか事前にリサーチしておく必要があります。 

4 運転資金

既に個人事業をしていた方が法人成りした場合、当面の運転資金の予測はつくと思いますが、事業開始とともに法人化する場合には、意外に運転資金は必要となります。

予測される当面の運転資金分は最低でも資本金として入れておく必要があります。 

※運転資金が乏しいとお金の心配ばかりすることになり、重要な本業がおろそかになってしまいます。独立する前に当面の資金は確保することが理想です。

5 資金調達

創業融資を受ける場合に重要となるのは自己資金です。

個人事業をしていた場合には実績があるため、融資時に実績をアピールができますが、新規に事業を始める場合には、前職での経験のほか、自己資金が重要な判定要素になります。

決算日はいつにするのが良いのか?


決算日は何月が良いのか?をご相談頂くことも多々あります。

その場合、大きくわけて2つの視点から決定して頂きます。

  • 消費税の納税義務
  • 売上が一番上がる月は何月か?

消費税の納税義務

消費税の免税期間は可能な限り、長くとりたいところです。

そのため、予想される年間売上(個人事業をされていた方であればすぐに推測できると思います)により初年度を丸々一年にするか、7か月後の決算にするかを検討します。

売上が一番上がる月は何月か?

中小企業にとって、一番大切なことは資金繰りです。

そのためには、財務内容の充実を図る必要があります。

利益は上がらないと困りますが、上がりすぎても困るわけです。これを念頭に考えた場合、

売上が一番上がる月を期首にもってくることにより、決算対策がしやすくなります。

法人形態は株式会社か?合同会社か?


近年では、会社設立というと株式会社か合同会社の設立であることがほとんどです。

では、設立形態として一体どちらで形態で設立すべきなのか?これについて私見を述べていきたいと思います。

なぜか勧められる合同会社

インターネットで検索してみると株式会社と合同会社の比較が掲載されています。

法律的には様々な違いがあり、上手に使い分ける必要があると思いますが、実務上、選択基準となってしまっているのは、10万円ほど安くなる設立費用です。

司法書士さんや行政書士さんが設立費用が安くなることを理由に安易に合同会社を勧めてしまうケースもあるようです。

私が株式会社を勧める理由

私は法人形態の相談をされた場合、株式会社を勧めています。

合同会社も立派な法人です。

しかし、歴史も浅く、知名度は株式会社の足元にも及びません。

確かに合同会社のほうが安く設立できることは確かです。

しかし、10万円程度安くなるだけです。

税負担も考慮すれば持ち出しは6万5千円程度のものです。

これから事業を大きくして行こうと考える場合、最も大事なのは信用力です。

その信用力を6万5千円程度で判断される場合もあることを十分考慮すべきです。

終わりに


ブログ自体がなんだか、法人成りを勧めるようなものになってしまいましが、私は決して法人化を推奨しているわけではありません

法人成りに憧れる方は多くいますが、実際に法人成りした後、思っていた以上に経費負担があり、後悔する方も多いのが現状です。

安易な法人成りは行わず、じっくりと検討したうえで法人の設立を実行てください。

確定申告に関するご相談


【お知らせ】

確定申告時期(2月~3月)については、業務量の関係上、ご相談に対応出来ない場合がございます。

ご相談をご希望の方はお早めにお問合せください。

申告書等の記入方法についてのご相談は大変恐縮ですが最寄りの税務署へお問合せください。)

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