会社設立重要事項

休眠会社の活用は注意が必要

個人から法人成りをする際、たまに相談を受けるのが親族がやっていた休眠状態の会社を引き継いだら会社の設立費用もかからないのでお得ですか?

といったものです。

どのようなリスクや負担が生じるか会話形式にてご紹介いたします。

【相談事案】

相談者:Kさん

相談内容:個人事業が軌道にのってきたため、法人成りをしたいと考えている。父(以前法人にて事業を行っていた)に相談したら、父が事業をやめたときから法人は休眠状態となっているので、その法人を利用すれば設立費用も掛からないから良いのでは?とアドバイスを受けた。

Kさん
Kさん

今、個人事業主として事業を行っていますが、だいぶ起動にのってきたので法人成りをする予定です。

父親が数年前まで法人で事業を行っており、その会社が現在休眠状態のため、知り合いの司法書士さんに相談したところ、名称変更自体は簡単に出来ると言われ、登記費用も節約できるしその方向性で考えています。

ただ、司法書士さんからはリスクもあるので、十分リスクを把握したほうが良いと言われました。

ひらい
ひらい

そうですね。

会社を休眠状態にすることは意外に難しくないですし、均等割りの負担が軽減される場合があったり、廃業手続きに多額の費用を要しないため、会社を休眠状態にする方は一定数います。

そのため、親が良かれとおもって子供に休眠会社を利用して法人成りを進めてしまうなんてことも結構あります。

休眠会社の利用は既存の会社を利用するため、一見簡単そうに見えますが、メリット以上に多くのデメリットもあることを理解しておく必要があります。

特に、休眠会社が今までどのような手続きを行ってきたのかは必須の確認事項と言えます。

Kさん
Kさん

え!?

休眠って何もしなくて良いものではないんですか?

父からは事業をしなくなり休眠状態となっているのだから何もしなくて良いと聞いていたのですが・・・・。

ひらい
ひらい

休眠をそのように勘違いしている方は非常に多いです。

お気持ちはわかるのですが、そのような状態は単なる無申告状態といえます。

この無申告状態は非常に厄介です。

まず、2年以上無申告状態が続くことにより青色申告が取り消されます。これにより、繰越欠損金があっても有効利用が出来なくなります。

更に厄介なのは会社として動かすためには過年度の会計処理を行ったうえで無申告状態となっている税務申告も行う必要があることです。過去の申告は資料もない場合がほとんどですし、仮に5年前から休眠状態で何も手続きを行っていない会社の場合には税理士へ5年分の申告報酬を支払うことになります。

通常その報酬だけでも軽く設立費用を上回ることになります。

Kさん
Kさん

なるほど、会社設立費用の節約となると思ったのですが、逆にかかってしまうこともあるというわけですね。

ひらい
ひらい

そうですね。

会社の中身をしっかり把握しており、手続き関係も適法にされている場合には検討の余地がありますが、内容に不安が少しでもある場合には利用しないほうが良いと個人的には思います。

Kさん
Kさん

そうですね・・・・。

父がやっていた会社を形式上引き継ぐのも何かの縁かな?と思ったり、

資本金も不要で、登記費用の負担も発生しないので良い案だと思ったのですが・・・。

父が事業をやめてからの会社の状態を私も父も理解しているわけではない以上、利用は見送ったほうが無難だと思いました。

相談にのってもらってよかったです。

まとめ

休眠会社の利用を検討している場合には、その会社の状況をしっかり理解している場合には利用できるケースもありますが、特に必要な手続きが行われていない場合には設立よりも費用がかかる場合もあるため慎重な判断が必要となります。

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