税務調査

運送業を個人事業として行っていた方の税務調査立ち会い事例(さいたま市南区)

さいたま市南区在住で運送業を個人で営んでいる方から依頼があり、税務調査の立ち会いを行いました。

※事案は匿名かつ概略のみとし、事実関係を一部変更したうえ、ご本人の承諾を頂きご紹介しています。

ご相談の経緯

ご相談者の方は40代後半の男性。(以下Aさんとします)

Aさんは10年前に独立をされ、個人で運送業を行っており、独立してからご自身で青色申告にて申告を行ってきたとのことでした。

しかし、税務調査の連絡が来てから自分だけで対応できるか不安になり、ネット広告を大々的に行っている税理士事務所に相談したところ、Aさんが行ってきた確定申告書の間違いを多く指摘され、修正申告をしなければ重加算税と7年遡及の可能性が高いので5年間の修正申告を行う必要があるとアドバイスを受けたとのことでした。

しかし、調査立ち会いと修正申告で料金は総額で120万円かかると言われ、予想される納税額についても多額であったため、ご自身で判断が出来ず弊所に相談にいらっしゃいました。

面談した結果わかった問題点

電話で概要を聞いていたため、以下の資料を持参して頂き面談を行いました。

面談時にご持参頂いた資料

・過去7年分の確定申告書(青色申告) 

・請求書や領収書 ・通帳 など

面談して分かった問題点

・3年前から青色申告55万円控除を選択しているにも関わらず複式簿記での帳簿がなかった。

・Aさんは独立されてから2~3回、取引相手を変えていたが、1か所の取引先は取引先の車を使用するところがあり、車のリース費用などの相殺があるにも関わらず入金金額で売上計上を行っていた。また売上の一部について少額ではあるものの計上漏れがあった。

・業務用として使用していた車の売買について申告が漏れていた。

・経費の中に事業と関係ないものと思われるものが多く含まれていた。

問題点と調査対応について検討

経理の状況を聞いたところ、毎年の確定申告は仲間からやり方を聞き、その方が作ったエクセルに数字を入れて申告書を作成していることが分かりました。

Aさん自身は複式簿記というものを理解しておらず、そのエクセルが帳簿に該当すると思っているようでした。

しかし、それ以上に問題であったのが売上高でした。

Aさんは入金額を売上だと思い込んでいましたが、入金額は元請先が負担している車のリース料や保険料等が控除されていたため、実際の売上は調査対象となっていた3年のうち、2年間は1000万円を超えている状況でした。(消費税の納税義務あり)

また、事業用として利用していた車を売却していましたが、その申告がされていませんでした。

しかし、Aさんの状況が重加算税や7年遡及がされるような状況(仮想隠ぺい行為や不正行為)に該当するとは思えなかったため、Aさんと色々検討した結果、調査前に事前修正は行わずに税務調査を受けることとしました。

税務調査

臨場日には若手の男性調査官2人が来ました。

調査では普段の仕事内容や資料の保存状況などの一般的な質問がされました。中でも売上に比べて交際費が多いことに着目していました。

ただ、このことは当初申告から私も疑問に思っていたことだったため、事前に交際費がかかる理由を確認しており、想定内の質問といったところでした。

調査は朝10時から始まり、予定よりも少し早めの14時30分に終了しました。

調査結果と納税計画

交際費については統括官の指示により再度確認したいということで弊所にきたものの、本件は9月下旬に調査連絡がきてから1か月半(実際に調査を受けた日から2週間程度)で終了となりました。

調査結果としては所得税は重加算税も付加されず3年間の修正申告。消費税は過去1年分が無申告だったため1年分の期限後申告を行うことで決着となりました。

納税額については、当初予想していた金額よりも少なく抑えられたため、国税(所得税と消費税)は完納することができました。

しかし、住民税、国民健康保険税、事業税までは完納できなかったため、分納計画案を作成したうえで市役所や県税事務所と交渉。

市役所はスムーズに計画案通りに納税していくことを了承してくれましたが、県税事務所については納税金額の少なさに難色を示し、了承が得られるまで少し時間がかかりました。

※分納について正式な手続きが決まっていない市区町村もあり、事前に分納案を作成したうえで計画的に納税することが出来るような数字的根拠をしっかり示したうえで交渉することが重要です。数字的根拠がない場合には役所主体で分納計画が組まれてしまい、結果的に納税が困難になり何度も交渉が必要になることもあります。

【ポイント】

・税務調査で聞かれそうなことは説明資料も提出できるようにしておくとスムーズです。

・税務調査後の納税で完納出来ない場合には、自分自身でいくらなら納付が出来るかを説明出来るように資料を作成しておきましょう。

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