不動産投資は税金との闘いであることは不動産投資をされている方であれば身に染みているかと思います。
特に利益の金額に大きく影響する減価償却については工夫する余地があります。
そこで今回は中古物件における減価償却について考えてみます。
ところで、あなたは中古物件を購入した場合、建物については減価償却を行っていきますが、建物の耐用年数をどのように計算していますか?
一般的には簡便法といわれる方法により計算していると思います。
簡便法は以下の計算で中古資産の耐用年数を算出します。
(1) 法定耐用年数の全部を経過した資産
その法定耐用年数の20パーセントに相当する年数
(2) 法定耐用年数の一部を経過した資産
その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20パーセントに相当する年数を加えた年数
しかし、他の方法もあることをご存じでしょうか?
実務上は当たり前に利用されている「簡便法」は実は条文上は例外的な方法と位置付けられており、原則法という方法も存在します。(実務上はほぼ出てこないため、すっかり忘れている税理士も多いです。)
この原則法は「中古資産の使用可能期間を見積もる」ことが出来れば利用することが出来ます。
しかし、厄介なのが「使用可能期間を見積もる」ことです。
当然、適当にやってはいけません。
弊所では個人で不動産投資をしているお客様が木造で耐用年数が経過している物件を購入し減価償却費の計上をコントロールする必要がある場合、不動産鑑定士に依頼をして見積耐用年数を算出していてもらうことがあります。
※見積耐用年数を使うことによるメリットは減価償却を強制償却が適用される個人に恩恵がある方法です。
また、この方法を採用した場合には物件の「経済的耐用年数」を融資の際にアピールできるという利点もあります。
ただし、不動産鑑定士への報酬額は安くはないことや人によって状況が異なることもありますので、自身の状況に応じて対応することが重要です。
【参考】関係法令法定 一部抜粋
減価償却資産の耐用年数等に関する省令 第3条 中古資産の耐用年数等
個人において使用され、又は法人において事業の用に供された所得税法施行令第6条各号又は法人税法施行令第13条各号に掲げる資産の取得をしてこれを個人の業務又は法人の事業の用に供した場合における当該資産の耐用年数は、前2条の規定にかかわらず、次に掲げる年数によることができる。
一 当該資産をその用に供した時以後の使用可能期間の年数
二 次に掲げる資産の区分に応じそれぞれ次に定める年数
イ 法定耐用年数の全部を経過した資産 当該資産の法定耐用年数の100分の20に相当する年数
ロ 法定耐用年数の一部を経過した資産 当該資産の法定耐用年数から経過年数を控除した年数に、経過年数の100分の20に相当する年数を加算した年数
耐用年数の適用等に関する取扱通達 1-5-1 中古資産の耐用年数の見積法及び簡便法
中古資産についての省令第3条第1項第1号に規定する方法(以下「見積法」という。)又は同項第2号に規定する方法(以下「簡便法」という。)による耐用年数の算定は、その事業の用に供した事業年度においてすることができるのであるから当該事業年度においてその算定をしなかったときは、その後の事業年度においてはその算定をすることができないことに留意する。