相続税申告・相続対策

未成年者への贈与


相続税の税務調査の現場では名義預金が指摘されるケースが非常に多く、国税庁発表データによれは、相続税の申告があった場合、約8割が何らかの申告漏れがあり、そのうち、4割弱が、現金・預金の漏れであると発表しております。

そこで、今回は前回の記載したお孫さんへの贈与をした場合の補足として未成年者への贈与についてです。

稀に未成年者への贈与は意思表示が出来ないのだから無効だとおっしゃる方がいますが、半分正解で半分は不正解です。

その理由について確認していきます。

まずは贈与という契約行為と未成年者が行う法律行為について確認をしていきます。いずれも民法に記載があります。

贈与(民法549条)

贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受託することによって、その効力が生じる。

未成年者の法律行為(民法5条1項)

未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為についてはこの限りではない。

上記の条文から未成年者が贈与により財産を取得した場合を考えてみます。

例えば、祖父母が高校生の孫に100万円あげるといいました。

孫は当然、有難うと喜んでもらいます。この場合、あげる・もらうという意思表示により、贈与は成立しています。そして、高校生は未成年ですが、贈与という法律行為は1項の後段部分の単に権利を得る行為です。

そのため、法定代理人の同意を得なくても法律行為は成立するわけです。

では、0歳の子供だったらどうでしょうか。

祖父母が仮に0歳の子供、100万円あげるといっても、親は喜びますが、0歳ですから意思表示ができまん。ですから、本人単独では贈与という法律行為は成立しません。そこで、贈与という法律行為を成立させるために、0歳の子供の代理人として親権者が必要となるわけです。

つまり、未成年であっても意思表示が出来るか否かにより、単独での贈与の可否が決定するわけです。

未成年者への贈与の理屈を抑えたうえで、税務署から名義預金と指摘を受けないようにするにはどうしたらよいのでしょか。

前回、贈与契約書を作成することを記載しまいしたが、未成年者に対する贈与は、受贈者の欄の下に親権者の記載を行うことが重要となります。

特に、まだ意思表示が出来ない未成年者への贈与については、必須事項となりますので注意してください。

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