相続税申告・相続対策

これで完璧!! 相続時における固定資産税の取り扱い


アパート、マンション、駐車場を所有している方にご相続が発生した場合には、準確定申告を行う必要が生じます。

準確定申告を行う場合には、必要経費の確認を行いますが、不動産所得の計算上大きなウェイトを占める固定資産税の取り扱いには準確定申告ならではの注意点もあり、慎重に判断を行う必要があります。

必要経費に算入すべき固定資産税


通常年度の確定申告において、不動産所得の金額計算上加味される固定資産税の把握方法ですが、皆さんはどのように計算していますか?

多くの方が、毎年5月初旬に市役所等から送られてくる固定資産税の納税通知書の金額を確認し、この金額に基づき不動産所得を計算しているのではないでしょうか。

このこと自体は間違いではないのですが、この理屈をしっかり理解していなければ準確定申告における不動産所得の金額計算を正しく行うことは出来ません。

債務確定主義

所得税法上の規定において、必要経費に算入されるべき金額とは以下のとおりです。

【所得税法基本通達37-2 一部抜粋】

所得税法37条の規定によりその年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき償却費以外の費用で、その年において債務が確定しているものとは、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものとする・・・・・・・。

【所得税法基本通達37-6(3)一部抜粋】(別段の定め)

賦課税方式による租税のうち納期が分割して定められている税額各納期の税額をそれぞれ納期の開始の日又は実際に納付した日の属する年分の必要経費に算入することができる。

固定資産税等は1月1日を賦課日とし、所有者に課税することになっていますが、具体的な納税額の確定は納税通知書が交付されたときとされています。そのため、納税通知が相続発生日の前後いずれかにより取り扱いが異なることになります。

納税通知が相続発生日前にあった場合に必要経費に算入できる金額

納税通知書が交付され、納税額の具体的金額の確定があったため、所得税税法基本通達37-6(3)の規定により判断します。すなわち、下記の3つのうち、任意に選択が可能です。

  • 通知書に記載されている全額を必要経費に算入させる。
  • 納期の開始日が到来している分を必要経費に算入させる。
  • 実際に納付した金額を必要経費に算入させる。

納税通知が相続発生日後にあった場合に必要経費に算入できる金額

固定資産税等については上記のとおり、1月1日時点において納税義務自体はその所有者と確定しています。しかし、納税通知書の交付がなされて初めて、具体的な金額が確定するため、必要経費に算入することは出来ません。

債務控除


準確定申告における必要経費算入の基準は、納税通知書の交付時期が非常に重要な位置を占めます。しかし、相続税の計算上、考慮すべき債務控除については扱いを異にします。

相続発生日において納付していない固定資産税等については、賦課期日に納税義務自体は発生しており、被相続人の債務として認められるためです。

この取り扱いの違いは、所得税は所得帰属を重視し、相続税は財産価値に着目するという課税原因と課税客体の相違によるためといわれています。

まとめ


  • 相続開始前に納税通知があった場合には必要経費算入可能
  • 相続開始後に納税通知があった場合には必要経費算入は不可
  • 相続発生時点において未払いの税額がある場合には債務として相続財産から控除が可能
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