相続税申告・相続対策

相続発生後の年金等に関する取り扱い

年金や確定申告を行ったことに伴い発生する場合がある還付加算金はいずれも雑所得とされています。

ただし、被相続人に係る年金や還付加算金は相続時には取り扱いを異にするため注意が必要です。

相続発生後の被相続人に関する年金の取り扱い


相続発生後の年金に関する取り扱いを検討する場合、国民年金や厚生年金の支給期間や請求者について理解をする必要があります。

国民年金や厚生年金は死亡した月分まで支給があります。

そして、被相続人に支払われるはずの年金の残額がある場合には、相続開始後に遺族が請求することにより未支給であった年金が支払われることになっています。国民年金法や厚生年金保険法では「その者の配偶者、子、父母、祖父母又は兄弟姉妹であり、その者の死亡の当時にその者と生計を同じくしていたものは、自己の名でその未支給の年金の支給を請求することができる。」とされており、支給順位もこの順番とされています。

そのため、相続が発生した時点において、原始的に上記の者に年金給付に係る請求権があることとされ、未支給年金は相続財産とはならずその年金を受給した者の一時所得となります。

還付金と還付加算金の取り扱い


還付金の取り扱い

源泉徴収税額がある者又は予定納税を行った者が年の中途で死亡した場合で、相続人が還付等申告書を提出し、源泉徴収税額又は予定納税額の還付を受けたときは、被相続人がもともと受け取るべき還付請求権が、被相続人の死亡によって顕在化したものと考えるため、この還付金相当額は被相続人の相続財産(未収金)として取り扱うこととなります。

また、被相続人が確定申告書を提出した後に死亡した場合に受け取る還付金についても同様に、被相続人に帰属していた還付請求権を被相続人が存命中に自ら請求したものであるため、被相続人の相続財産(未収金)とされ、相続税の課税対象となります。

還付加算金の取り扱い

還付金に関する取り扱いについては、被相続人が確定申告書を提出した後に死亡した場合と相続人が準確定申告書を提出した場合のいずれにおいても相続財産(未収金)として取り扱うこととなりますが、還付加算金については扱いを異にします。

前者の場合には、被相続人が自ら行った還付申告により、すでに死亡と同時に被相続人の債権として成立しているため、還付金と合わせて相続財産(未収金)として相続税の課税価格に算入されることになります。

一方、後者は、相続人が準確定申告書を提出したことにより、原始的に取得するものであることとされ、相続人の所得を構成するものとなり被相続人の相続税の課税対象とはならず、相続人の雑所得として取り扱うこととなります。

まとめ


  • 未支給の年金請求権は相続財産とはならない。
  • 未支給の年金は相続人の一時所得と課税される。
  • 還付金は相続財産(未収金)として相続税の課税対象とされる。
  • 相続人が行った準確定申告に関する還付金であれば、相続財産にならず、相続人の雑所得となる。
  • 被相続人が確定申告書を提出した後に死亡した場合に係る還付加算金は、還付金同様相続財産となり、相続税の課税価格に算入される。
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