法人成り・会社設立・新設法人

インボイス導入時の簡易課税について(法人設立2期目の対応)

インボイス制度が導入されるまで、あと約1年になり、最近は大手と取引があるような顧問先から登録番号の通知依頼を受けたという話が増えてきています。

また、インボイス制度導入に向けたシステム改修などに着手するケースも増えており、今まで問題にならなかったような細かい点も議論されています。

そのため、弊所でもインボイス制度に向けた打ち合わせも多くなっており、今回は昨年法人設立をした会社と打ち合わせをした際の簡易課税制度選択に関するヒアリハット事例を紹介したいと思います

インボイス制度と簡易課税制度についての打ち合わせ

相談者:A社の社長Aさん 

A社の状況:

①第1期目が終了。(売上は3000万円)現在2期目 ②事業年度は2月~1月 

相談事項:第3期の消費税について

ひらい
ひらい

社長、第1期目の決算、無事に利益が出てよかったですね。

A社長
A社長

そうですね。1期目は会社設立費用などイレギュラーな費用が発生したので最後まで利益が出るかドキドキでした。

個人から法人成りをして2期分は免税事業者なので、この2期で消費税分ぐらいは会社の内部留保を貯めたいところです。

ひらい
ひらい

第2期(進行期)も今の調子で頑張ってください。

ところでA社長

第1期目の売上が3千万円でしたので第3期から消費税の課税事業者になります。

第3期はインボイス制度も導入1年目のため対応が必要です。

A社長
A社長

そうでした。

インボイスの番号は取引先から年内に提出してほしいと通知がきていましたので早めに申請をして頂けると助かります。

ひらい
ひらい

承知しました。

今回の1期目の決算申告手続きと一緒に「適格請求書発行事業者の登録申請」を行っておきます。

番号は登録申請書を提出してから通知がされてきます。

最近では申請から大体2週間~1か月程度かかります。

ひらい
ひらい

ところで、消費税の計算方式については原則課税と簡易課税のどちらを選択しますか?

A社長
A社長

計算の仕組みは理解しているつもりですが、どのように判断すれば良いのでしょうか?

ひらい
ひらい

はい。

原則方式と簡易課税方式で有利不利判定をして決定します。

数字が出ているのが1期のみのため、1期で判断してみると簡易課税制度を選択したほうが有利になります。3期目も同じようなビジネスモデルであれば簡易課税を選択したほうが有利ですね。

ただ、簡易課税を選択する場合には、多額の設備投資をする際や原則課税へ戻す際に一定の制限がありますので注意が必要です。

A社長
A社長

今の時点では大きなビジネスモデルの変更や多額の設備投資をする予定はないですね。このような場合には事前に相談します。

ところでインボイスが導入されるにあたり、簡易課税を選択する場合にはいつまでに届出書を提出する必要があるのでしょうか?

ひらい
ひらい

国税庁のパンフレットには以下のように記載があります。

問6 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中
に登録を受ける場合には、登録を受けた日から課税事業者になるとのことですが、そ
の課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができますか。

【答】簡易課税制度は、課税期間の基準期間の課税売上高が5,000万円以下であり、原則と
して、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届
出書」を提出している場合に適用することができます(簡易課税制度の選択は任意で
す。)。
免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中
に登録を受けることとなった場合には、登録日(令和5年10月1日より前に登録の通知
を受けた場合であっても、登録の効力は登録日から生じます。)から課税事業者となる
経過措置が設けられています。


この経過措置の適用を受ける事業者が、登録日の属する課税期間中にその課税期間か
ら簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した「消費税簡易課税制度選択届出書」を、納
税地を所轄する税務署長に提出した場合には、その課税期間の初日の前日に消費税簡易
課税制度選択届出書を提出したものとみなされます。


したがって、ご質問の場合、登録日の属する課税期間中にその課税期間から簡易課税
制度の適用を受ける旨を記載した「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することに
より、その課税期間から、簡易課税制度の適用を受けることができます。

A社長
A社長

細かいことはよくわからないですが、結論としてはうちの会社は3期の終わりまで提出すれば良いのでしょうか?

ひらい
ひらい

とても読みにくのでそう捉えてしまうのも仕方ないですよね。

実はそうならないんです。

御社は3期目の初め(令和5年2月1日)より課税事業者となりますので、

免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中
に登録を受けることとなった場合
」に該当しないことになり、原則通り、今期(2期)の間に簡易課税選択届出書を提出しておく必要があります。

A社長
A社長

そうなんですね。

てっきり3期目に有利不利を考えて提出すれば良いのかと考え始めていたところでした。

わかりました。

忘れないようにインボイスの登録と一緒に簡易課税選択届出書も提出をお願いします。

ひらい
ひらい

承知しました。

消費税の届出はうっかり期限が過ぎてしまうと適用が出来ないため早めに提出をしておいたほうが安心ですね。

インボイスの届出で一緒に提出をさせて頂きます。


越谷・草加の税理士 ひらい税理士事務所

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