個人の税務調査立ち会い業務を行っているとたまに他人名義(大体奥さんなどの親族)の銀行口座に売上の入金があるケースに遭遇します。
税務調査では銀行口座は必ずといっていいほどチェックされます。
以下は、最近立ち会った個人事業主の税務調査で問題になった事案をご紹介します。

※本事案については、匿名にて概略のみをブログでご紹介することをお客様のご了承のうえ、事実を一部変更して紹介させて頂いております。
個人事業主の税務調査で奥さん名義の口座を利用していたケース
相談者:Aさん(左官業)
状況:8年前に個人事業主として独立。その後自分で白色申告にて確定申告を行ってきた。最近は売上も1000万を超えてきたためインボイス登録も行ったうえで消費税申告もご自身で行っていた。ただ、売上については一部配偶者名義の口座に入金があった。

Aさん、ご自身で確定申告を消費税まで行っており素晴らしいですね。
申告書の記入も少し消費税の計算方法で違うところがあるぐらいでそれほど大きな誤りはないように思えますよ。何か気になることはあるのですか?

はい・・・・。
実は売上の一部が妻の銀行口座に入金されているものがあります。確定申告は毎年急いで作成していることから一部の売上計上が漏れていることが分かりました。
ネット検索すると売上の計上漏れは重加算税になると書いてあるのですが・・・・。

そうですね・・・・・。
売上の計上漏れについては税務署はとても厳しい判断をしてきます。特に他人名義の口座を利用している場合には架装隠ぺい行為に該当することになるため、重加算税の可能性がぐっと高まります。
ところで、なぜ奥さん名義の銀行口座に入金されているのですか?

はい。
実は過去に自己破産を1度しており、自己破産をする際に自分の通帳を提出してお金を動かせなくなってしまったことがありました。
その時期に、仕入や外注などへの支払いが出来なくなってしまうことから一部の売上を妻の口座に入金してもらうように元請けにお願いした経緯があり、その名残が残っていたのです。

なるほど・・・・・。
そのような経緯であれば、売上の計上漏れが生じてしまっているものについては修正を行ったうえでしっかりと調査のときに説明をしましょう。
奥さんの銀行口座であってもAさんの場合にはほとんどを申告しているわけですし、重加算税と言われても納得できないですよね。
税務調査の対応と結果
売上の計上漏れが生じてしまっている部分については事前に修正申告書の提出を行いました。
本件では通常の調査が進む中で問題になったのはやはり奥さん名義の口座でした。
調査官からこのような質問がありました。

Aさん、
売上が入金されている通帳はこの通帳だけですか?
別の口座などに入金はありませんか?

実は先生にはお話ししたのです、妻の口座に売上の一部入金があります。
当初の確定申告ではうっかり一部計上が漏れている部分がありましたので修正申告をしてもらいました。
この後、調査官からはなぜ奥さん名義の銀行口座に入金がされているかを聞かれましたが、そもそもの経緯からしっかりと説明を行い、意図的な売上除外とはなっていないことを説明しました。
調査自体は午前10時から始まり昼休憩1時間を挟み午後2時頃に終了。後日、過少申告加算税として処理する旨の連絡をもらい本件は終了となりました。

個人的に思ったこと
本件の税務調査の現場に立ち会って感じたことは、税務署側は「Aさんが奥さんの銀行口座を売上の入金先に指定していたこと」を、事前に把握していた可能性が非常に高いということです。
おそらくB調査官は、上司から「その口座についてしっかり確認してくるように」と指示を受けて臨んでいたと推測されます。
それに対してAさんは、奥さんの口座を入金先にしていた経緯を隠さず明確に説明し、「隠ぺいではないこと」をしっかりと証明しました。だからこそ、税務調査もこじれることなくスムーズに進んだのだと思います。
まとめ
- 出来るだけ早く他人名義の口座利用はやめましょう
- 確定申告を行う際には他人名義の口座の売上は計上漏れが起きないようにしっかりと確認しましょう。
- 税務調査で他人名義の口座の売上計上が指摘された場合にはなぜ他人名義の口座を利用したのかをしっかり説明する。
- 調査官は他人名義の口座に入金されている事実を事前に知っているケースも多々あります。質問には嘘を言わずに正直に答えましょう。
個人事業主の税務調査に関するお問合せ

ひらい税理士事務所 代表税理士
埼玉県越谷市・草加市を中心とした近隣地域において、地域密着型の税理士として活動。
地域金融機関や関連他士業等とのネットワークを活かし、法人決算業務にとどまらず、資金繰り・融資支援、税務調査対応、相続税・資産税業務など、経営者の幅広いニーズに対応。
これまで多くの税務調査に立ち会ってきた経験と、金融機関を意識した決算・申告書作成には定評があり、経営の安定と将来の発展を見据えた実践的なサポートを行っている。
