建設業に関係する税務

たまたま土地の譲渡があった場合の課税売上割合に準ずる割合の承認


事業会社が保有している土地を譲渡する際に忘れないで適用をしたい「課税売上割合に準ずる割合」。

実務をやっていても数年に1度出てくるかどうかの特例であり、税務署の承認も必要となることから、決算ギリギリの対応では間に合わず、余裕をもって提出する必要があります。

適用できる消費税の計算方式は個別対応方式に限定

消費税の計算方法は大きく分けて、原則課税方式と簡易課税方式があります。

このうち適用できる場合とは原則課税方式です。

さらに原則課税方式は個別対応方式と一括比例配分方式に区分されますが、「課税売上割合に準ずる割合」を適用できるのは「個別対応方式」で計算している場合のみとなります。

原則課税方式(個別対応方式)とは

原則課税方式は「課税売上に係る消費税」ー「課税仕入等にかかる消費税により計算されます。

個別対応方式については課税仕入等に係る消費税にその特徴があります。

その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額のすべてを以下の3つに区分します。

① 課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの

② 非課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの

③ 課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等に係るもの

そして、①+③×課税売上割合により計算した金額を仕入税額控除として計算することになります。

この土地の譲渡がある場合、この課税売上割合が通常よりも低くなってしまうため、課税売上割合に代えて準ずる割合を適用するわけです。

課税売上割合に代えて適用できる割合とは?

土地の譲渡が単発のものであり、かつ、当該土地の譲渡がなかったとした場合には、事業の実態に変動がないと認められる場合(注1)、「課税売上割合に準ずる割合の承認申請書」を所轄税務署に提出し、承認されることにより(注2)次のいずれか低い割合を課税売上割合に変えて計算することができます。

・土地の譲渡があった課税期間の前3年に含まれる課税期間の通算課税売上割合

・土地の譲渡があった課税期間の前課税期間の課税売上割合

(注1)土地の譲渡がなかったとした場合に、事業の実態に変動がないと認められる場合とは、事業者の営業の実態に変動がなく、かつ、過去3年間で最も高い課税売上割合と最も低い課税売上割合の差が5%以内である場合とされています。

(注2)課税売上割合に準ずる割合の適用を受ける場合、納税地の所轄税務署長の承認を受けた日の属する課税期間から適用されます。承認がされるまで1か月ほど時間がかかりますので早めに提出する必要があります。

(注3)この課税売上割合に準ずる割合の承認は、たまたま土地の譲渡があった場合に行うものですから、翌課税期間に「消費税課税売上割合に準ずる割合の不適用届出書」を提出する必要があります。提出しない場合には、承認を受けた日の属する課税期間の翌課税期間以降の承認を取り消されます。

申告書の記載方法

「準ずる割合」を適用する場合、申告書にどう記載してよいか迷うところです。

申告書上は課税売上割合はそのままの割合で記載し、個別対応方式の課税売上非課税売上共通して要するものに対して準ずる割合を乗じた金額を記入することになります。(課税売上割合については変更がなく、あくまで課税売上割合に変えて準ずる割合を共通仕入に乗じるという考えだと思われます)

この辺りは利用している申告システムにより記載箇所の違いがありそうです。

試しに弊所が利用している弥生会計に問い合わせてみたところ、弥生会計では準ずる割合には対応しておらず、原則課税の仕入税額控除をする際の課税売上割合を自動計算で乗じてしまうため、「課税売上割合」を手入力で「準ずる割合」に代えて計算してほしいとの回答となりました。

確かに課税売上割合を変更しても結果は同じ計算になるはずなのでシステムが対応していなような場合にはそのような記載でもよいのか知れません。

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